統一教会の問題は、「いのち」の問題です。

お金や、政治の問題以上に。

それが、もっともはっきりと表れたのが
この2世問題です。

—「あとがき」より

本書は、統一教会の2世が受けてきた影響について、当事者の立場から解説するものです。

「祝福2世」と「信仰2世」という区分は何を意味するのか。
「堕落」「原罪」「血統」といった教義が、2世に何を与え、そして奪ったのか。

本書は、体験の記述にとどまりません。
教義の構造を読み解き、その論理が2世にどのような枠組みを与えてきたのかを考えます。

制度と思想が結びつくとき、 子どもの人生はどのように形づくられるのか。

静かに、しかし避けて通れない問いを提示する一冊です。

本書の位置づけ

統一教会(現・世界平和統一家庭連合)における「2世問題」を、教義構造と制度運用の側面から整理・分析しました。

「血統」「原罪」「堕落」「祝福」といった統一教会の教義が、どのように2世の人生に作用してきたのか。
その構造を明らかにすることを目的としています。

統一教会や「宗教2世」の研究、支援体制・法制度の検討等における参考資料になることを目指しています。

もちろん、一般読者の方や、当事者である統一教会2世にもお読みいただけるものにしています。

本書で扱う主な論点

  • 統一教会2世の問題は「いのち」の蹂躙という人権問題
  • 「祝福2世」「信仰2世」の差とそれぞれに共通する事項
  • 教団による教育・教化と「祝福」による束縛
  • 2世支援の方策

本書では、統一教会2世の被害を単なる個別的不幸としてではなく
教義と制度の帰結として位置づけています。

収録図版の紹介(一部)

目次

  • はじめに——なぜ「統一教会2世」を書くのか
  • 統一教会2世被害の核心──個人の問題ではなく構造の問題として
  • ふたつの2世──統一教会2世の「身分」
  • 統一教会の2世教育──教化と「洗脳」の構造
  • 統一教会2世の結婚──祝福という制度
  • 統一教会2世の被害と向き合うために
  • 終わりに──問いつづけるために
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1.はじめに——なぜ「統一教会2世」を書くのか
 統一教会2世問題を束縛の構造から捉える
 自分自身の経験から書くこと
 この本を読んでくださる方へ

2.統一教会2世被害の核心──個人の問題ではなく構造の問題として
 法的観点から見た統一教会2世の被害
 教義における子の位置づけ
 「愛」という言葉の実態
 2世が奪われたのは人生そのもの
 「いのち」の蹂躙という構造
 識者が見た「いのち」の蹂躙

3.ふたつの2世──統一教会2世の「身分」
 祝福2世と信仰2世──教義による区分
 祝福2世とは──「神の子」としての誇りと束縛
 信仰2世とは──曖昧な定義
 祝福2世・信仰2世の共通点──「血統」が生む被害構造

4.統一教会の2世教育──教化と「洗脳」の構造
 2世教育の移り変わり──方針の組み替え
 父母に対する2世教育──「子育て」を教団活動化
 思春期の教化──「堕落」を防ぐ設計に
 「2世7年路程」
 束縛が生み出される体系

5.統一教会2世の結婚──祝福という制度
 統一教会における祝福とは
 教義が定める祝福の意義──「個人の結婚」ではない
 「選ぶ」のではなく「与えられる」仕組み
 制度の破綻
 祝福制度が奪ってきたもの

6.統一教会2世の被害と向き合うために
 教義に起因する被害性
 過去の問題として処理できない理由
 信仰をもつ2世の置かれた状況
 2世支援における前提条件──「選択肢を支える」支援へ

7.終わりに──問いつづけるために

参考文献

あとがき

実務・研究に関わる方へ

本書は、2世個別の事例評価ではなく、教義が未成年に与える拘束性や「血統」による人格規定の制度的意味、そして教団内部における内面の統制といった構造を、当事者の視点から提示しようとする試みです。

教団解散後の被害清算や、今後の再発防止策を検討する上で、何らかの参考となれば幸いです。

書誌情報

判型:B6判
頁数:160頁
発行:白兎再生舎(個人レーベル)
価格:1,110円(Kindle版)
※Kindle Unlimited対応
 対象会員の方は追加料金なしでお読みいただけます。
※紙版(ブックカバー付き)は、団体・書店様向けに個別対応しております。

著者紹介

田村一朗(たむら・いちろう)

統一教会で「信仰2世」とされる元信者。
両親が1990年代に入信し、青年期を教団活動に従事する中で韓国語を習得。
教祖死去前後に離教。
現在は執筆活動を通じ、統一教会の問題を問い続けている。

最後に

統一教会の2世問題を、個人や家庭の問題として済ませてしまうことはできません。

これは、宗教の思想と制度が、ひとりの人生にどのように作用するのかという問いです。

本書が、その検討の一助となれば幸いです。


活動を応援してくださる方へ

本書の制作・出版および統一教会2世問題に関する継続的な調査・発信活動は、個人で行っています。
今後も資料として参照可能な形で発信を続けていくため、noteにて応援を受け付けています。
無理のない範囲でご支援いただけましたら幸いです。