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旧統一教会(世界平和統一家庭連合)2世被害の優先的救済を求めます
本日、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散が決定しました。
まずは、解散決定に向けて長年奔走されてきた弁護団の皆さまをはじめ、関係各位のご尽力に心より敬意と感謝を申し上げます。
この決定は、長年にわたり被害を受けてきた多くの元信者や家族にとって、大きな節目であることは間違いありません。
しかし同時に、私は一人の2世当事者として、強く訴えたいことがあります。
解散が決定し、法人が清算人の管理下に移管されるいまこそ、未解決のまま残されてきた2世被害への優先的かつ集中的な対策を講じるべきです。
私は先月、『統一教会2世の被害――教義と制度が奪ってきた人生』を出版しました。
本書は、これまで断片的に報じられてきた2世の被害を、「教義」と「制度」によって人生が拘束されてきたという構造的観点から整理し、当事者ではない方々にもその実態を理解していただくために、自主出版という形で世に問うものです。
安倍元首相銃撃事件以降、多くの統一教会2世が勇気をもって声を上げました。しかし、その当事者たち自身が十分な救済を受けられているとは言えません。むしろ、社会的な議論の渦中でさらに傷つき、放置されている現実があります。
一方で、現役の2世信者の中には、街頭で解散が不当であると訴え「居場所を奪わないでほしい」と声を上げる人たちもいます。離教した2世と現役の2世との対立も深まり、立場を問わず、多くの2世が心身に深い傷を負ってきました。
2世の被害は、家庭や個人の問題のみにとどまるものではありません。
それは、家庭連合(旧統一教会)の教義と制度によって生み出された、全人的な被害です。
教団によって人生の選択を狭められ、自身の人生を生きることを許されない教育を受け、結婚や性という最も根幹的な部分を束縛されてきました。進学や就職、結婚といった人生選択への制約、教義による心理的拘束、養子の問題や結婚の制限などの人権侵害的要素、そして経済的負担や社会的孤立といった状況は、偶発的に起こった者ではありません。教義と制度に根差した構造的な問題として生じてきたものです。その具体的な構造と実態の詳細については、本書において体系的に整理し、検証可能な形で提示しています。
2世集団訴訟においても重要な争点となると思われますが、2世に生じた経済的・精神的その他の被害の第一義的責任は、教団にあります。
1世の経済的被害については、弁護士の先生方のご尽力により、訴訟や調停など一定の解決の道筋が示されてきました。しかし2世には、制度的な救済の道がほとんど存在していません。
親の多額献金による生活基盤の喪失、教育機会の制限、無年金となった高齢の親の扶養や看取りの負担など、経済的・社会的な重圧を抱えながらも、声を上げられずにいる2世は少なくありません。
教義と制度に人生を絡め取られ、自己決定の機会を奪われてきたという意味で、2世は全人的な被害を受けています。法人を引き継ぐ清算人におかれては、この現実を正面から受け止めていただき、何よりも2世被害の救済を優先していただくことを強く求めます。
解散は終わりではありません。
これまで声を上げてきた2世当事者たちに敬意を表するとともに、その声が未だ十分な救済へと結びついていない現実を直視し、いまこそ具体的な制度設計へと踏み出すべきということを、この機会に強く申し上げたいと思います。
2026年3月4日
田村 一朗
『統一教会2世の被害――教義と制度が奪ってきた人生』著者