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解散命令の先にあるもの――当事者として社会に求めたいこと

今秋、旧統一教会に対して解散命令が出る可能性が高まっています。
この教団の宗教2世として、私はこの問題を“過去の出来事”ではなく“現在進行形の課題”として受け止めています。

解散は「終わり」ではなく、「始まり」にすぎません。むしろ、ここからが本当の意味での被害者救済と社会的課題への取り組みの出発点になるはずです。以下に、社会全体で具体的に取り組むべき課題を整理しました。

目次

1. 被害者救済体制の構築

解散後には莫大な資産が回収される可能性があります。それを透明性のある基金として設立し、公益的に運用することが必要です。

短期的には旧統一教会による被害者・2世の救済や支援に充てられることになると思いますが、最終的には人権問題を全般的に扱う公的機関として持続可能な救済制度を整えるべきでしょう。

既に日本弁護士連合会から『カルト問題に対して継続的に取り組む組織等を創設することを求める提言』という意見書が発出されています。こちらの内容を参考に、具体的な体制構築が必要です。

それには、人材面の充実も欠かせません。様々な知見を持った信頼できる人材によって、公正かつ適切な運営を持続的に行える体制づくりを推進していきたいと私は考えています。

2. 置き去りにされてきた2世被害者への支援

「宗教2世」として強く訴えたいのは、このことです。教団の活動による間接的な被害を受けた2世の救済は、長く見過ごされた状態になっています。

教育、進路、家庭生活といった人生の基盤に深刻な影響を受けている人が多くいます。また、教団を離れてからも社会的な孤立に陥る人は少なくありません。精神的ケア、生活支援、学び直しの場、コミュニティー作りなど、幅広い社会的サポートが必要です。

3. 離教支援の充実

解散命令をきっかけに「辞めたい」と思う現役信者は少なくないでしょう。更に本国における不正疑惑が大きな問題として浮き彫りになる中、教団に対する不信感が大きくなっている信者の方も、実は少なくないのではないかと思います。

この状況を見越して、派生(分派)団体が既に勧誘の動きを具体化しています。しかし、そうした人たちの行き先が分派(同じ文鮮明教祖を信奉する教団)だけでは再び同じ問題を繰り返しかねません。

解散命令で悩み迷う人が繋がれる窓口をつくり、宗教コミュニティを離れて生きる選択肢もあることを具体的に提示し、安心して社会に居場所を見出せる支援体制も求められます

4. 現役職員の生活再建

教団職員として生活してきた人々もまた、解散後には仕事を失います。被害者救済と同時に、彼らが社会の中で再出発できる道筋を用意する必要があります。ここを置き去りにすれば、新たな分派や過激化を招きかねません。

上記3の離教支援とも通じますが、居場所は宗教コミュニティーだけではないこと。たとえ不本意な思いを抱えながらでも社会の中で暮らし続ける道も模索しなければなりません。なお、これは多くの離教者が経てきた道でもあります

特に子育て世代の2世信者については喫緊の課題です。「宗教3世問題」に繋がるような事態は絶対に避けなければなりません。

5. 解散後の監視と社会との共生

解散命令を受けても、教団関係者が「国家への恨み」を抱き、社会から孤立・隔絶をしていくなら、オウム真理教の時の二の舞になりかねません。

この点は2013年10月、文科省が旧統一教会に解散命令の請求を行った際のNHK「クローズアップ現代」で取り上げられた課題です。この日の放送に関しては本ブログにも記事があります。ぜひご覧ください。

信者側・社会側双方の努力が求められるのが現実です。社会の一員として共に生きられる環境を整えることが、長期的な社会の安定にも繋がります

おわりに ― 専門機関と基金の設立を

まとめると、以下のような課題への取り組みが求められていると私は考えます。

  • 被害者をどう救済するのか
  • 信者や職員をどう受け入れるのか
  • 二度と同じ悲劇を繰り返さないために何を学ぶのか

事件後からの経緯を見ますと、今一番の課題は「誰がやるのか」ということです。以前から取り組んできた支援者が手弁当・ボランティアのような形で行う支援では継続は困難でしょう。

やはり、本記事の1で挙げた 宗教被害に専門的に取り組む常設機関 の設立と独立した基金 を創設して、被害者の救済と支援に継続的に取り組む体制を作ること。ゆくゆくは人権問題を扱う機関として発展させていくことが、今いちばん求められていると私は思っています。

早ければ今秋といわれている旧統一教会の解散に向け、考えていくべき問題です。

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