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問い合わせと回答から見えた「補償委員会」の姿

2025年10月29日、旧統一教会(世界平和統一家庭連合、以下「家庭連合」)が「補償委員会」というものを設立すると発表しました。同委員会の補償対象になる者として、私は同委員会に公開で質問を送り、回答をいただきました。1
また、家庭連合が11月21日に発出したプレスリリースにおいて補償委員会について言及していますので、それも踏まえて検証を加えていこうと思います。
公開質問を行った理由
家庭連合による「補償委員会」設立によって、これまで既存の法的枠組みでは救済できない2世被害をどうにかできるかもしれない可能性があると考えました。
私自身も例外ではありません。私の両親は今も熱心な信者ですが、子(2世)である私の立場として、今後の親の扶養等といった事情を考えると、親が献金したお金の一部でも子として返してもらうことも考えざるを得ないという事情があります。
しかし、この委員会は家庭連合の依頼によって設置されたものです。2特に私のように教団を離れた者から見ると「本当にここへ補償を申し込んでも大丈夫だろうか」という不安を感じるのが正直なところです。
そこで、この補償委員会に安心して申請できるかどうかを知るため、また、声を上げられない他の被害者や宗教2世の参考になるよう、私から同委員会に質問を送ってみることにしました。
この記事では、その質問内容と委員会からの回答の概要を紹介し、このやり取りから見た教団の姿勢についてまとめます。
私が「補償委員会」に送った6つの質問 (2025年11月2日)
私が補償委員会事務局に送った質問の要点は、以下の6つです。
補償委員会事務局のメールアドレスに宛てに2025年11月2日(日)付で送信しています。
1.委員会は本当に教団から独立していますか?
ホームページには、委員会は家庭連合との契約で作られたと書いてありますが一般に言う「第三者委員会」とは違う立場です。本当に公平な目で判断できるのか、そのためのルールがあるのかを確認しました。
2.補償することは教団の失敗を認めることですか?
もし補償をするなら、それは過去の献金集めや教団の活動に問題があり、被害者が出たことを事実上認めることになるのか尋ねました。
3.なぜ今、委員会を作ったのですか?
家庭連合はこれまで、被害者弁護団からの話し合いをずっと拒否してきました。それなのに、なぜ急に方針を変えて3補償委員会を作ったのか。また、被害弁護団4を通す場合と同委員会を通す場合で何が違うのかも確認しました。
4.親が望まなくても、子(2世)が補償を受けられますか?
親(1世)が返金を望んでいなくても、子どもである2世が申請できるのか。また、私が申請することで親に何か不都合なこと(不利益)が起きないかも確認しました。
5. 2世の被害も補償対象ですか?
教義を強制されたことや、親の借金の名義を借りるなど、間接的で精神的な被害も2世には多いです。こうしたケースも補償の対象になるのかを確認しました。
6.質問と回答を公開すること
他の被害者への参考になるよう、個人情報を伏せた上で、この質問と回答を公開する可能性があることを伝えました。
委員会からの回答とその評価 (2025年11月4日受領)
質問に対し、委員会から回答が届きました。回答の要点と、それに対する私の評価は以下の通りです。
回答の要点
回答は、「補償の対象や金額は一人ひとりの状況を見て個別に決める」という説明が中心でした。特に、委員会の公平さなど、制度の根本に関わる質問には、「個別の質問には答えられない」という返答でした。 ただし、申請の具体的な手続きについては丁寧な説明がありました。
当事者としての評価
私が補償委員会に尋ねた内容は、以下の5つです。
- 補償委員会の独立性・中立性・公正性
- 補償の意義(教団の過去の活動に問題があったことを認めるのか)
- 被害弁護団との違い・委員会設立の意図
- 親の意思に関わらず子(2世)が補償申請できるか
- 2世の精神的・間接的等への対応
上記④⑤が個人の事情に関わり「個別に決める」という回答は、ある程度理解はできます。
しかし、制度の根本に関わる質問(上記①②③)にまで「個別質問」として答えを避けてしまうと、この委員会を信用してよいのか、という疑問が残ります。安心して申請するためには、まず委員会そのものが公平に運営されることの証拠を示す必要があると感じました。
回答と教団の主張から見る「不断の努力」の検証
その後、家庭連合は2025年11月21日付のプレスリリースで東京高裁へ提出した最終主張書面の概要を公開しました。5
その中で「補償委員会」についても触れていますが「集団調停への対応や補償委員会の設置などの不断の努力を継続しており、解散命令の必要性はない」というものです。
しかし、私が実際に経験した委員会の対応と家庭連合の主張を比べると、家庭連合の主張する「不断の努力」は本当の意味で被害者を助けるための行動とは言い難いのでは、と思っています。
委員会の信頼性と透明性は確保されていません(日弁連ガイドラインとの対比)
補償委員会は、制度の根本に関わる質問に答えなかっただけでなく、ホームページで以下の内容を自ら公開しています。
当委員会は家庭連合から要請を受けて設置された委員会ではありますが(中略)別に定める補償基準に従い、信徒らの皆様への補償にあたっては家庭連合から独立した立場に立ち、社会的妥当性の見地から補償内容についての判断を行うものであって(以下略)。
1.補償委員会の設置と基本理念―補償委員会ホームページ
なお、当委員会は、日本弁護士連合会の定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」の要件を充足するものではなく、当委員会が有する独立性は家庭連合との間の契約に基づくものです。
この記述は、委員会が「家庭連合から要請を受けて設立された委員会でありながら補償に当たっては家庭連合から独立した立場」を主張する一方で、日弁連ガイドラインに基づく第三者性を自ら否定していると解釈できます。
独立の根拠が家庭連合との「契約」に基づくものであるため、一般的な問題解決で求められる客観的・完全な独立性は保証されていない、といえるでしょう。
委員会が「公平・中立」だと主張しても、その根拠が依頼主との契約にあるのなら、真に独立しているとは言えません。被害救済の取り組みとして客観的な信頼性を高めようとする姿勢は見えません。
「補償」と「不法行為の裏付けはない」の矛盾
教団は補償委員会を設置しながらも、裁判所には「私たちの活動に悪いところはなく、解散されるような理由はない」と主張しています。
補償委員会まで立ち上げて「元信者・現役信者とその関係者に補償をします」といいながら、東京高裁には「私たちの悪質な不法行為の存在を裏付ける具体的事実はない」と主張する。
これは根本的に矛盾しています。もし問題がないなら、なぜ補償が必要なのでしょうか?
謝罪も「今検討中」としたまま設立された委員会の動きは、教団が本当に被害を認め、責任を取ろうとしているのか疑問です。
かねて指摘されている通りやはりこの補償委員会が解散命令を避けるための手段として使われていると見るのが妥当なところではないでしょうか……。
結論: 被害弁護団への相談が安心
今回の補償委員会への問い合わせと回答、および家庭連合の主張をあわせて考えると、少なくとも現時点では補償委員会は本当に被害者を救う機関として動くための公平さと独立性を欠いていると判断せざるを得ません。また補償委員会への申請対象となる者の一人としても、この補償委員会に安心して申請することは到底難しいです!
ですので、少なくとも現時点では家庭連合との関係がハッキリしない補償委員会に頼むより、これまで通り被害弁護団に依頼し、裁判所の公平な手続きの中で判断してもらう方が安心できると考えています。
もし、以上のような見解に異議があれば、補償委員会もしくは家庭連合は記者会見やプレスリリース等を通じ、私が提起したような疑問に答え、広く社会に主張していただきたいと私は願うものです。
今回の検証結果が、私たち当事者が被害を解決するための方法を探る上での参考情報になれば幸いです。
- 本件は2つの記事に分けて報告を行っていたため、本記事に1つにまとめました。以前の記事は下記にあります。
「補償委員会」への問い合わせを行いました | 「いのち」のゆく先
「補償委員会」から回答をいただきました | 「いのち」のゆく先 ↩︎ - 補償委員会事務局ホームページには「当委員会は家庭連合から要請を受けて設置された委員会ではありますが」との記載があります ↩︎
- 補償委員会の設立について|ニュース|世界平和統一家庭連合 ↩︎ ↩︎
- 全国統一教会被害対策弁護団 ホームページ ↩︎
- 解散命令申立事件に係る最終主張書面を提出しました|ニュース|世界平和統一家庭連合 ↩︎
