自由民主党と旧統一教会の繋がりに関する証言

私は、旧統一教会の2世元信者です。1990年代に両親が入信し、両親は現在も熱心な信者として活動を続けています。

2013年の参院選直前、安倍晋三首相(当時)が自民党本部の総裁応接室で旧統一教会の総会長・会長ら幹部と面談していたことが、朝日新聞により報じられました。この場には萩生田光一・元経済産業相や岸信夫・元防衛相も同席しており、その時の写真も併せて公開されました。1

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報道を受けて

今回の報道に接した感想ですが、正直、全く驚きはありません。

なぜなら、幼い頃から旧統一教会の信仰を持っていた私にとって、“うちの教会”が自民党と関係は深いなどということは「当たり前中の当たり前」のことだからです。

それは今回、再び注目を浴びている北村経夫議員の件についても同様です。2013年当時、私自身は既に教会と距離を置き始めていましたが、両親より「今度の選挙(2013参院選)では教会として北村経夫氏を推す方針になった」と聞き及んでいます。

2世元信者の私が見た「自民党と旧統一教会」

私自身は信者時代、教団の政治に関する活動に参加する機会はありませんでした。しかし幼い頃から、教団の礼拝や教育の機会等を通じ、以下のような話を幾度となく聞いてきました。

草創期の礼拝には岸信介氏(安倍晋三元首相の祖父)がよくお見えになった2

1987年、中曽根氏がアボジ(教祖・文鮮明)の願いに背き安倍晋太郎氏(※安倍晋三元首相の父)ではなく竹下登氏を首相にした3ことで、摂理が何十年も遅れた

信者時代の私の認識は自民党は日本において「神の願い」、つまり旧統一教会の目的を果たすための重要な機関であり、岸・安倍3代や中曽根康弘元首相はそのためのキーパーソンである「摂理的中心人物」というものでした。

両親の自民党選挙応援(2015年前後から)

また私の両親は、2015年前後から地元の自民党候補の選挙応援に非常に熱心に取り組むようになりました。それ以前の教会活動といえば献金集めがメインだったのに、今思えば第2次安倍政権の発足後から急激に、自民党候補の応援に傾倒するようになっていました

両親の選挙応援に懸ける情熱は年々激しさを増し、2022年の参院選にピークを迎えました。入会した覚えのない自民党候補者の後援会から私の名前で会報が届いたり、投票期間になれば「期日前投票に行って!いつ行く?もう行った?」と、ものすごい勢いで迫られるようにまでなりました。

辟易しつつも「ああこれはかつての献金集めと同じで “ノルマ”があるんだろうなぁ」と思っていました。

“あの日”以降

しかし“あの日”を境に、状況は一変しました。

両親は選挙の事について一切口にしなくなり、翌年に行われた統一地方選挙でも「個人として」自民党候補者の集会に参加したものの、あれだけ熱心にやっていたポスター貼りも、鬼気迫る期日前投票の依頼も、一切がなくなってしまいました。

戦後日本史の根幹に関わるほどの「重大な疑惑」

安倍元首相銃撃事件以降、私が精神的に錯乱するくらいに深刻に受け止めたことがあります。

それは戦後の日本社会において「当たり前」だと思ってきた数々のことが、実は国外の宗教・産業複合体による負の影響を受けて成り立ってきたのではないか、という疑いです。

“うちの教会”が「国家復帰」という明確な目的をもって政権与党である自民党を支え、その見返りに自民党も“うちの教会”に何らかの見返りを与えていたのかもしれない。

それによって民主的とは言えない形で政治が行われ、多くの弱い立場の人々が傷つき、脅かされてきたのかもしれない4

長年の歪は「山上徹也」という人物によって一気に表出し、その結果、安倍元首相の命が奪われるという最悪の事態を招いてしまったのではないのだろうか……。

この問題は単なる政治ゴシップネタ等ではなく、戦後日本社会を生きる私たちの過去・現在そして未来に関わる、根源的な問題です。だからこそ、遅きに失したとはいえ今からでも第三者による調査を強く願います。

旧統一教会信者・当事者の自民党に対する思い

旧統一教会の元幹部・大江益夫氏の「懺悔録」に、次のような記述があります。

はっきり申し上げれば、自民党に対して恨み骨髄に徹す、です。あれだけ統一教会に世話になっていたのに、都合が悪くなれば、手のひら返しです。自民党の議員たちの多くは見下げ果てた人間であり、自民党という政党は見下げ果てた組織です。

樋田 毅. 『旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録 』(光文社新書) (p.152). 光文社. Kindle 版.

2024年9月21日放送のTBS『報道特集』では、旧統一教会の選挙支援を受けたとされる自民党議員による釈明が紹介されていますが5 信者時代に政治活動に関わらなかった私でさえ憤りがこみ上げてくるようなものです。

このような自民党をの態度見て、長年にわたり自民党を支えてきた旧統一教会の関係者・当事者は今、何を思うのでしょうか……。


  1. 安倍晋三氏と旧統一教会会長、自民党本部で選挙支援確認か 写真入手:朝日新聞デジタル (asahi.com) ↩︎
  2. 「私たちの研修中に、岸氏が顔を見せたので驚いたことを覚えています。当時、岸氏は施設の隣に住んでおられたので、私たちの賛美歌の歌声などがうるさかったのかもしれませんね。」 ほか
    樋田 毅. 『旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録』 (光文社新書) (p.35). 光文社. Kindle 版. ↩︎
  3. いわゆる「中曽根裁定」(Wikipedia) ↩︎
  4. 島薗進 編著.『政治と宗教 : 統一教会問題と危機に直面する公共空間』 (岩波書店). 2023. 終章 ↩︎
  5. 安倍元総理と旧統一教会の幹部らが選挙直前に“面談”報道 内部文書には「首相からこの方を後援してほしいとの依頼」 教団による選挙支援の実態【報道特集】 | TBS NEWS DIG (5ページ) ↩︎
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田村 一朗(仮)のアバター 田村 一朗(仮) HN: インセム(인샘)

旧統一教会(世界平和統一家庭連合)
2世元信者 信仰2世(ヤコブ)

この教団に長く身を置いてしまったことを悔いています。統一教会とは何なのか。なぜ信じたのか。この教団は日本社会にどんな影響を与えたのか。問い続けていきたいです。

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